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- 第3回 -

医療機器会社のサラリーマンをしながら創作活動を続けているという異色の経歴を持つ鈴木聖史監督がメガホンを取る新作「ホコリと幻想」。企画プロデューサー秦秀明をお迎えしての対談<第3弾>。

旭川市長から力強いお言葉をいただいた前回のお話から、今回は短編映画「空の色」の撮影秘話へ。今作「ホコリと幻想」との意外な繋がりについても教えていただきました。

対談③

――実際に、短編はいつごろ撮影が行われたのですか?

監督「2013年3月頃から脚本に取り掛かって、撮影したのは5月のGW中だったと思います。2日間で一気に撮りましたね」
「GWなんですけど、雪が降ってました。最初、信じられなくて(笑)だって5月ですよ!東京では桜も終わっている時期ですからね。とにかく、5月に雪は…とても印象的な撮影となりました」
監督「ただ勝手に撮るということではなく、観光コンベンション協会の方の協力をいただきまして、撮影許可関係の書類作成にはじまり、ロケ地交渉、それから撮影中もずっと現場にいてくれましたし、ほとんど制作部のように…」
「今作「ホコリと幻想」の撮影でも、本当にお世話になりましたね。東京の制作部からも「東京で仕事できますよ、来ませんか?」というオファーがあったとか(笑)いくら地元とはいえ、不慣れな映画の現場で仕事をきっちりまとめきる、もっと言えば、人間力のようなものに支えてもらいました」
監督「実際、撮影は早朝から深夜まででしたし、特に制作部の方は、誰よりも先に現場に入って誰よりも最後に出ているはずですからね。かなり準備期間もタイトでしたし、許可を取るのも何をするのにも、ギリギリのタイミングばかりで…あ、これは「ホコリと幻想」の方の話ですけど」
「短編映画「空の色」でも、そこまできっちり対応して頂いたこともあり、かなり色々な場所で撮影できましたよね」
監督「そうなんですよね。実は、ホコリと幻想と同じロケ地でした。と言うのも、設定が同じなんですよ」
「それ面白いですよね。実は、「ホコリと幻想」の登場人物たちと、「空の色」の登場人物は同級生で、クラスまで同じなんですよね」

――面白いですね、それ。ところで、秦さん、空の色でも主演ですよね?色々な人の協力の中にはもちろん、秦さんも含まれると思いますが、監督と再び撮影するのは、どのような感じでしたか?

「そうですね…」
監督「遠慮なく(笑)」
「いやいや、全然、そんなことではなくて。色々不思議な感じだったんですよ。プロデューサーとして動いていた企画に俳優として関わる事も、同じ監督の演出で、前作の「ある夜のできごと」とは違う役として立つのも」
監督「なるほど。確かに、僕も不思議な感覚でした」
「共演者の柳野玲子さん東京から呼んで…ちょっと短編撮りましたって感じではないですよ、この作品(笑)」
監督「先輩も、後輩も東京から手弁当での参加でした、本当にありがたいです」
「あとは本当に旭川の皆さんが全面協力してくださって、同級生たちがボランティアスタッフとして参加してくださり、撮影は無事終了しました」

――そんな様々な方々の想いや協力が集まって、短編「空の色」が完成したのですね。

監督「さっきも話ましたけど、秦さんが演じたタロウと、戸次さんが演じた松野って同級生の設定で、「空の色」では、何度か「松野」という名前が出るんですよ。「空の色」でも教室のシーンがあって、ロケ地は同じ学校なんですけど、卒業間近に誰が、どこの席だった…という会話もあって、タロウは松野の隣に座っていたという」
「そうでした。それから、「空の色」のラストでは、僕が演じている後ろで、松野の噂話が聞こえてくるんです」
監督「よく覚えてますね」
「それは、演じてますからね(笑)でも、僕はこの辺りから『あれ、次の鈴木組に出演できないんじゃないか?』って予感はしてましたけどね(笑)」
監督「違う違う。全然、そんな話じゃなくて…結果的には、そうなってしまったけど(笑)」

――色々とあったようですが(笑)この「空の色」は、現在では観れないんですよね?

監督「そうですね。一部の資金を集めるのに、クラウドファンディングを使用しまして、特典がその完成DVDだったので」
「一度だけ、上映しましたね。旭川で」
監督「そもそもプロモーションが目的だったので、旭川が舞台になるという意味をスクリーンで感じてもらえればと思い、2013年の8月に一度限りの特別上映をしました。見慣れた景色が映画になる感触って、きっと特別なものなんじゃないかなと思っていました」
「Web上で、予告編は観れますよね?」
監督今回の対談を掲載するサイトでも予告は観れるようになっていますので、そちらを観ていただけると」

――いつか、観たいですけどね。ホコリと幻想を観たら、こちらも観たいっていう人、出てきそうですけどね。是非、検討をして欲しいです。私は観たいです(笑)。さて、そのプローモション用短編映画「空の色」を上映し、更に前進したように思えますが、その後は、どういった流れだったのですか?

「この短編撮るにあたっては、旭川商工会議所からも本当に多くのサポートをいただけて。そのころから、前作「ある夜のできごと」を超えるイメージになり始めてまして」
監督「実際の経験の域をも超え始めてきていたのは事実ですね」
「本当にこれを成立させるためには、という…。結局、現実の積み重ねでしか、夢って形にならないですし」
監督「一度、大きく…目的とか、意味とか、価値とか想いとか…そういったものを再検討した時期でしたよね」
「それで、圧倒的に経験の豊富な映画プロデューサーをノックしました」

(Photo:枝優花)

短編映画『空の色』ダイジェスト版

音楽:斉藤尋己
題字:三堀大介

『ホコリと幻想』
あの日、口をついて出たのは、嘘ではなく、夢だった。

――それは、孤独感を常に抱いている男。信頼という絆にすがりつく男。欲望に取り憑かれ逃避した男。そしてそれを席巻する女。――さまざまな人間模様が交差し歯車が擦れあい、誇りと幻想(愛、または埃のように吹き飛ばされる誇り)を模索する北海道の旭川を舞台にした物語。

主人公の「孤独な男」松野を演じるのは北海道を中心に全国で幅広く活動を続けている演劇ユニット「TEAM NACS」のメンバーで舞台のみならず映画、テレビドラマでも活躍している戸次重幸。「孤独な男」を翻弄させる美希役には女優、モデル、クリエーターとマルチな活躍を見せている美波。さらに遠藤要、内田朝陽、奥山佳恵、本田博太郎ら個性派、実力派の演技陣が脇を固めている。

「俺は成功者」、「夢を叶えた」と自ら虚しく言い聞かせる負け犬となった男が夢、挫折、絶望、狂気、救い、底力を経て再生へと向かう様がちょっぴりビターな感動を呼び起こす。

ホコリと幻想